この記事の結論
ヒューマノイドロボットの「レンタル費用」を検索すると機種別の月額価格表が多数見つかるが、2026年9月16日時点でTesla Optimus・Figure 03・Boston Dynamics Atlasの公式サイトに価格情報は無く、一般向けレンタルも確認できない。Boston Dynamics Spot(四足歩行)は国内正規代理店の公式FAQが「レンタル非対応」と明言している。唯一Unitreeは購入価格をG1=13,500ドル・G1 Pro=21,500ドルと自社公式ストアで公開しているが、これは海外向けの購入価格であり、国内でのレンタル窓口は確認できなかった。本記事は金額を断定せず、各社の一次情報と出典URLを機種別に示す。
レンタル費用を調べる前に:まず「借りられるのか」を確認する
「ヒューマノイド レンタル 費用」で検索すると、機種ごとに月額数十万円といった価格の一覧を掲載したページが数多く見つかる。しかし2026年9月16日時点でメーカー公式サイトおよび日本国内の正規代理店の情報を確認したところ、それらの金額の出典は確認できなかった。
本記事で確認できた事実(2026年9月16日時点)
- Tesla Optimus・Figure 03・Boston Dynamics Atlasは、いずれも一般向けの販売・レンタルを行っておらず、価格も公表されていない。
- Boston Dynamics Spot(四足歩行ロボット。人型ではない)は、国内唯一の正規パートナーである東北エンタープライズが公式FAQで「レンタルの対応はしておりません」と明言している。
- Unitree(中国メーカー)は例外的に、G1・G1 Proの購入価格を自社の公式オンラインストアで公開している。ただしこれは海外向けの「購入」価格でありレンタルではなく、国内の正規代理店やレンタル窓口も本記事の調査範囲では確認できなかった。
- 1X NEO(家庭向け)は米国限定でデポジット200ドルの予約制。月額サブスクリプションの仕組み自体は用意されているが金額は非公開で、国際配送は「今後開始」とされており日本は現時点で対象外である。
つまり2026年9月現在、日本国内で「ヒューマノイドロボットを月額◯万円でレンタルする」という一般向けサービスは、本記事で確認した範囲では存在しない。以下、機種ごとに一次情報を示しながら根拠を解説する。
機種別の提供状況一覧(メーカー公式情報で確認・2026年9月16日時点)
主要なヒューマノイドロボット8機種について、メーカー公式サイト・公式ストア・国内正規代理店の情報を実際に確認した結果を一覧にした。価格欄が「非公表」となっている機種は、公式サイト上に金額の記載が無く、問い合わせフォームからの個別見積もりのみという意味である。
| 機種 | メーカー | 一般向け提供状況 | 価格情報 | 確認した一次情報 |
|---|---|---|---|---|
| Tesla Optimus(Gen 3) | Tesla, Inc. | 未商用化(量産ライン準備段階) | 非公表 | Tesla 2025年度Form 10-K(SEC EDGAR) |
| Figure 03 | Figure AI | 非公開(問い合わせフォームのみ) | 非公表 | Figure AI公式サイト |
| Atlas | Boston Dynamics | 一部の先行導入企業のみ(Hyundai等) | 非公表 | Boston Dynamics公式サイト |
| Spot(参考・四足歩行) | Boston Dynamics/東北エンタープライズ | 販売のみ・レンタル非対応 | 非公表(旧「800万円モデル」は廃版) | 東北エンタープライズ公式FAQ |
| Unitree G1 | Unitree Robotics | 海外向け販売あり(購入・公式ストア) | 13,500ドル | Unitree公式ストア |
| Unitree G1 Pro | Unitree Robotics | 海外向け販売あり(購入・公式ストア) | 21,500ドル | 同上 |
| Unitree H1 | Unitree Robotics | 海外向け販売あり(要問い合わせ) | 非公表(Contact us for the real price) | 同上 |
| 1X NEO | 1X Technologies | 米国限定・予約受付中 | デポジット200ドル+サブスク(月額は非公表) | 1X公式サイト |
| Agility Digit | Agility Robotics | 法人向け個別商談のみ | 非公表 | Agility Robotics公式サイト |
| Apptronik Apollo | Apptronik | 法人向け個別商談のみ | 非公表 | Apptronik公式サイト |
| Sanctuary Phoenix | Sanctuary AI | 準備段階(「Preparing for a Future with Industrial Humanoids」の見出しで紹介。稼働中の産業用アーム分野とは別枠) | 非公表 | Sanctuary AI公式サイト |
ネット上の「月額◯万円」という数字に注意
機種別レンタル料金の比較表を掲載しているページは多いが、そのほとんどにメーカー公式サイトや代理店への出典リンクが無い。上の表で「非公表」としている機種について具体的な金額を提示しているページを見つけた場合は、その金額がどこから来た数字なのか、一次情報を確認してから判断することをおすすめする。
なぜ主要メーカーはレンタル価格を公表していないのか
「価格非公表」は単なる情報公開の遅れではなく、各社が置かれている事業フェーズを反映している。機種別に確認できた事実を示す。
Tesla Optimus:SECへの開示でも「未商業化」と明記
Tesla, Inc.が米SEC(証券取引委員会)に提出した2025年度Form 10-K(2026年1月29日提出)のリスク要因の項には、次の記載がある。
Tesla 10-K原文(Item 1A Risk Factors)
"We have yet to commercialize Bots and cannot predict how demand for Bots will develop, either from commercial or consumer applications."(Bots=Optimusを含むロボット事業の呼称。当社はBotsをまだ商業化しておらず、商用・個人用いずれの用途でも需要がどう発展するか予測できない、の意)
同社が四半期ごとに公表する事業アップデート(2026年1月・4月・7月)を確認しても、Optimusの量産ライン設置や生産準備の進捗に関する記載はあるものの、価格や日本市場への言及はOptimusの文脈では見当たらない。日本(Japan)という単語自体は自動車販売実績の説明で登場するのみである。
Figure 03・Boston Dynamics Atlas:個別商談・先行導入のみ
Figure AIの公式サイトは「Figure 03 is a general purpose humanoid robot for every day.」という紹介文と問い合わせフォームのみで構成されており、価格・購入・レンタルへの導線は無い。
Boston Dynamics Atlasの公式製品ページも同様に価格の記載が無く、トップの案内文は「Start the Conversation」「Get in touch to explore how your team can be ready for the future of industrial operations. We will be starting with a select number of early adopters」であり、先行導入企業(Hyundaiでの実地テスト事例のみ記載)に限定した段階であることが読み取れる。
Apptronik Apollo・Agility Digit・Sanctuary Phoenix:法人向け商談フェーズ
Apptronik Apolloは公式サイトに「Get Started」ボタンのみで価格表は無い。Agility Roboticsも「Deploy Digit」という導入プロセス(現場アセスメント・実証・本番導入の3段階)を案内しているが、価格は掲載されていない。
Sanctuary AIの公式サイトは、産業用ロボットアーム分野を「Now Deploying(展開中)」、人型ロボット分野を「Industrial humanoids」として「Preparing for a Future with Industrial Humanoids」の見出しで紹介しており、他分野とは異なるステータスで扱われている。商用の問い合わせ窓口は用意されているが、価格の記載は無い。
ヒューマノイドロボット業界の求人をチェック
求人一覧を見る唯一「価格」を確認できたUnitree:ただし購入価格でありレンタルではない
今回確認した8機種のうち、公式サイト上に具体的な金額が明記されていたのはUnitree(中国・杭州)のみだった。同社の公式オンラインストアには次の価格が掲載されている。
| 機種 | 価格(USD) | 備考 |
|---|---|---|
| Unitree G1 | 13,500ドル | 基本モデル |
| Unitree G1 Pro | 21,500ドル | 上位モデル |
| Unitree H1 | 非公表 | 商品名が「Unitree H1(Contact us for the real price)」となっており、金額は問い合わせ制 |
注意すべき点が2つある。第一に、これは海外顧客向けの購入価格であり、レンタルやリースのプランではない。第二に、送料・関税・技術サポート体制を含め、日本国内向けの正規代理店やレンタル窓口は本記事の調査範囲では確認できなかった。自分で海外から個人輸入する形になった場合、日本国内での保守・サポート・電波法や労働安全衛生法上の取り扱いは別途確認が必要になる。日本円への換算額は為替レートにより変動するため、正確な金額は公式ストアで直接確認することをすすめる。
なお、Unitreeを含む中国メーカーの動向については中国ヒューマノイドメーカーの動向まとめで個別に整理している。
混同されやすいBoston Dynamics Spot:国内正規代理店は「レンタル非対応」と明言
Boston Dynamics社はAtlas(人型)のほかにSpot(四足歩行)も製造しており、検索結果では両者が同じ記事にまとめられていることが多い。Spotは厳密には人型ロボットではないが、「ヒューマノイド レンタル」の文脈で名前が挙がることが多いため、ここで公式情報を明記しておく。
Spotの日本国内における正規パートナーは福島県いわき市の東北エンタープライズ(TECO)1社である。同社の公式サイトには「株式会社東北エンタープライズは、米国Boston Dynamics社とパートナー契約を締結し、日本国内で四足歩行ロボットSpot(R)をはじめとするロボット販売、サービス提供を開始します」との記載がある。同社の公式FAQには、レンタルの可否について次のとおり明記されている。
東北エンタープライズ公式FAQ(原文)
Q「Spotの価格はいくらですか?」
A「一部ネットに掲載されている800万のモデルは既に廃版になっております。ご使用用途に応じてオプション製品をご提案しますので、まずは一度ご連絡ください。」
Q「Spotはレンタルできますか?」
A「レンタルの対応はしておりません。現地でのPoCをご希望される場合は一度お問い合わせください。」
つまり、ネット上で見かける「Spot本体800万円」という数字はメーカー自身が「既に廃版」と否定しており、現行モデルの価格は非公表である。また、レンタルという契約形態自体が国内正規代理店では提供されていない。実機を見たい場合は、同社いわき本社でのデモンストレーションまたは展示会への出展時に確認するのが公式に案内されている方法である。
1X NEO:家庭向けの「サブスク」モデルだが日本は現時点で対象外
1X Technologies(ノルウェー発・米国拠点)のNEOは、家庭向けヒューマノイドロボットとして「購入」と「月額サブスクリプション」の2つの導入方法を公式サイト上で案内している唯一の機種である。ただし現時点では米国限定であり、金額は一部しか公開されていない。
公式サイトのFAQには次のように記載されている。
1X公式FAQ(原文と要約)
Q "How does the subscription option work?"
A "You pay monthly for having and using a NEO at home. At the end of your subscription, you may extend it or return NEO."(月額を支払ってNEOを自宅で使用する形式。サブスク期間終了時には延長するか返却するかを選べる、の意。具体的な月額はこのFAQ内には記載が無い)
Q "When do deliveries begin?"
A "US deliveries begin in 2026 starting with Early Access customers choosing to purchase NEO, followed by subscriptions. International deliveries will commence later."(米国内での配送は2026年に開始、購入者を優先しその後サブスク契約者へ。海外向けの配送開始は今後、の意)
予約(Order)には200ドルのデポジットが必要で、このデポジットはNEOの配送準備が整うまでは全額返金可能とされている。ただし本記事の調査時点で日本向けの配送・サブスクリプション提供の開始時期は公式サイト上に明記されておらず、現状は日本で申し込める段階にはない。
今すぐヒューマノイドロボットを試したい場合の現実的な選択肢
「価格が公表されていない」「レンタルが無い」という状況でも、企業として導入を検討する方法はいくつかある。
メーカーに直接問い合わせて法人向けPoCの窓口を使う
Atlas(Get in touch)、Apollo(Get Started)、Digit(Deploy Digitプロセス)はいずれも、公式サイト上の問い合わせフォームから法人向けの商談・実証実験(PoC)を申し込む導線が用意されている。価格は個別見積もりになるが、事業内容や導入したい業務内容を具体的に伝えることで、対応の可否や概算のスケジュール感を確認できる。
費用感の目安を先に把握したい場合は、ヒューマノイドロボットの価格ガイドや、導入判断のフレームワークをまとめたROIの考え方もあわせて確認しておくと、商談時の質問事項を整理しやすい。
展示会・デモで実機を確認する
Spotについては、東北エンタープライズの公式FAQで「弊社福島県いわき本社にてデモンストレーションを行うことが可能」「展示会やイベントにも出展しております」と案内されている。人型ロボット各社も国内外の展示会に出展することがあるため、購入や商談の前に実機を確認したい場合はメーカーの公式サイトやプレスリリースでイベント出展情報を確認するとよい。
用途を絞ったロボットであれば、国内で既にレンタルできる分野もある
「ヒューマノイド(汎用二足歩行)」ではなく、清掃・配膳・受付など用途を絞ったロボットであれば、国内でレンタル事業を展開している会社は既に存在する。汎用ヒューマノイドとは提供状況がまったく異なるため、目的が「特定業務の省人化」であれば、こうした専用ロボットの方が現実的な選択肢になりうる。関連する記事は以下のとおり。
汎用ヒューマノイドの購入とリースの違いについてはリース vs 購入の比較記事、導入までの一般的な流れは導入フローの記事で解説している。
補助金は使えるか:2026年9月時点でヒューマノイド専用カテゴリは未確認
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の対象カテゴリ一覧(2026年9月10日更新版のcategory.csv)を確認したところ、「清掃ロボット」「配膳ロボット」など用途別のカテゴリは多数存在するが、「ヒューマノイド」「人型ロボット」に該当するカテゴリは本記事の確認時点で見当たらなかった。ヒューマノイドロボットの補助金活用を検討する場合は、カタログ注文型ではなく一般型など他の枠組みが対象になるかどうかを含め、最新の公式ポータルで確認する必要がある。詳しくは補助金の考え方をまとめた記事を参照してほしい。
出典・参考情報
本記事の金額・提供状況に関する記載は、すべて以下の一次情報を2026年9月16日に直接確認した内容にもとづく。
- Tesla, Inc. 2025年度 Form 10-K(SEC EDGAR)
- Figure AI公式サイト
- Boston Dynamics公式サイト(Atlas製品ページ)
- 東北エンタープライズ公式サイト(Spot FAQ)
- Unitree公式オンラインストア(G1製品ページ)
- 1X公式サイト(NEO製品ページ)
- Agility Robotics公式サイト
- Apptronik公式サイト
- Sanctuary AI公式サイト
- 中小企業省力化投資補助金 カタログ対象カテゴリ一覧(中小企業基盤整備機構)
価格・提供状況は変更される可能性があるため、導入を検討する際は必ず各社公式サイトで最新情報を確認してほしい。本記事は特定機種の購入・レンタルを推奨するものではない。