この記事の結論
2026年のフィジカルAI関連の採用動向について、個別企業の採用人数や年収を裏付ける公的統計は確認できませんでした。一方で、日本ロボット工業会(JARA)の四半期統計では産業用ロボットの受注額が2026年4〜6月期に前年同期比+40.0%(8四半期連続の増加)となり、経済産業省は2026年5月にAIロボティクス戦略を改訂して人材育成を政策の柱の一つに位置付けています。厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年7月分)では有効求人倍率が1.18倍、新規求人は製造業で前年同月比+6.8%増でした。本記事はこれらの一次情報と、各社公式採用ページの案内をもとに、フィジカルAI分野で求人が見られる職種と求められるスキルを整理します。
2026年のフィジカルAI採用動向を一次情報で確認する
「フィジカルAI 採用動向 2026」を調べると、「求人が前年比◯%増加」「年収レンジが◯◯万円に上昇」といった具体的な数値を見かけることがあります。結論から言うと、フィジカルAI(ヒューマノイドロボットや現場のロボットを制御するAI)人材の採用数・求人倍率・年収を単独の区分として集計した公的統計は、2026年9月時点で確認できませんでした。フィジカルAIという分野自体が新しく、総務省の日本標準職業分類にも独立した区分がないためです。
この記事で扱う一次情報
- 日本ロボット工業会(JARA)の四半期統計(産業用ロボットの受注・生産・出荷実績)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況」(有効求人倍率などの労働市場指標)
- 経済産業省「AIロボティクス戦略」(2026年5月改訂の政府方針)
- アクセンチュア・NEC等の公式採用サイト(個別のポジション・年収は非開示のため、リンクのみ紹介)
これらの一次情報が示しているのは、「フィジカルAI人材の求人数」そのものではなく、①ロボット産業全体の受注・生産が拡大していること、②国内の労働需給が製造業を中心にやや引き締まっていること、③政府がロボット人材の育成を政策課題として位置付けていること、の3点です。以下、それぞれ出典とあわせて確認します。個別企業の採用人数・年収の具体的な数値については、公式に集計・公表されたものが確認できなかったため、本記事では断定を避けています。
採用動向の背景にある一次データ
フィジカルAI分野そのものの採用統計は無いため、隣接する3つの公的データから背景を確認します。
産業用ロボットの受注は8四半期連続で拡大(日本ロボット工業会)
一般社団法人日本ロボット工業会(JARA)が会員企業を対象に毎四半期公表している統計によると、産業用ロボットの受注額は2026年4〜6月期に前年同期比+40.0%となり、8四半期連続の増加を記録しました。前四半期(2026年1〜3月期)も受注額+41.0%(7四半期連続増加)と、高い伸びが続いています。
| 指標 | 2026年1〜3月期 | 2026年4〜6月期 |
|---|---|---|
| 受注台数 | 60,412台(前年同期比+33.0%) | 57,695台(同+19.3%) |
| 受注額 | 2,948億円(同+41.0%) | 3,127億円(同+40.0%) |
| 生産台数 | 52,983台(同+20.4%) | 51,437台(同+11.4%) |
| 生産額 | 2,442億円(同+22.9%) | 2,520億円(同+24.3%) |
| 総出荷額 | 2,519億円(同+24.8%) | 2,577億円(同+24.1%) |
| 輸出額 | 1,998億円(同+35.4%) | 2,194億円(同+28.5%) |
この統計が示していないこと
JARAの統計は「産業用ロボット(会員企業ベース)」の受注・生産・出荷実績であり、ヒューマノイドロボットや人材・雇用の統計ではありません。「ロボット産業の需要が拡大している」ことの裏付けにはなりますが、「フィジカルAI人材の求人が同じ率で増えている」ことを直接示すものではない点に注意してください。
国内出荷は電気機械製造業向けで前年同期比+30.6%と回復した一方、自動車製造業向けは▲10.9%と業種によって明暗が分かれています。輸出は電子部品実装用ロボットが牽引役です。国内のヒューマノイドロボット市場全体の動向については、国際ロボット連盟(IFR)の公表データを紹介している日本のヒューマノイドロボット市場の記事もあわせてご覧ください。
有効求人倍率は1.18倍、製造業の新規求人は増加基調(厚生労働省)
厚生労働省が2026年8月28日に公表した「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」によると、全産業・全国の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で前月と同水準、正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍でした。新規求人倍率(季節調整値)は2.10倍で、前月を0.06ポイント下回りました。
| 指標(令和8年7月・季節調整値) | 数値 |
|---|---|
| 有効求人倍率 | 1.18倍(前月と同水準) |
| 新規求人倍率 | 2.10倍(前月比▲0.06pt) |
| 正社員有効求人倍率 | 1.00倍(前月と同水準) |
産業別の新規求人(原数値・前年同月比)では、製造業が+6.8%、サービス業(他に分類されないもの)が+5.6%、医療・福祉が+1.3%それぞれ増加した一方、宿泊業・飲食サービス業(▲10.7%)、卸売業・小売業(▲7.3%)などは減少しました。フィジカルAI関連の求人が多く分類されると見られる製造業で新規求人が増加基調にあることは、間接的な追い風材料といえますが、この統計はあくまで産業別の集計であり、ロボット・AI関連職種だけを切り出した数値ではありません。
都道府県別の有効求人倍率(季節調整値・就業地別)は、最高が福井県・山梨県の1.69倍、最低が大阪府の0.95倍でした。地域による求人環境の差も踏まえて、勤務地の選択肢を検討する材料になります。
政府は2026年5月にAIロボティクス戦略を改訂、人材育成も政策の柱に
経済産業省は2026年3月、「AIロボティクスに関する関係府省連絡会議」の決定として「AIロボティクスの社会実装に向けた政府の方向性」を取りまとめ、2026年5月27日にこれを改訂しました。同省の公式ページに掲載されている政策パッケージには、次の5本柱が示されています。
- 導入・普及を加速するエコシステムの構築(「ロボットフレンドリー」な環境構築・地域エコシステムの構築)
- 産学が連携した人材育成枠組の構築
- 中長期的課題に対応するR&D体制の構築
- 社会実装を加速するオープンイノベーション
- その他(ロボット大賞など)
このうち2番目の「産学が連携した人材育成枠組の構築」では、「ロボットの設計・開発や導入に係る人材が不足している現状を踏まえ、産業界と教育機関等が連携しオールジャパンでロボット人材を育成します」と明記されています。具体的な取組として、産学連携の「未来ロボティクスエンジニア育成協議会(CHERSI)」の名前が挙げられています。これは、政府がロボット・AI人材の不足を政策課題として認識していることを示す一次情報ですが、「何人不足しているか」「何年で解消するか」といった具体的な数値の目標は、このページ上には明記されていません。
アクセンチュア・NEC・富士通など:確認できたこと・できなかったこと
ロボット・AI関連のコンサルティングやシステム開発を手掛ける企業として、アクセンチュア・NEC・富士通の名前がよく挙がります。いずれも大手企業として実在し、公式の採用サイトを公開していることは確認できましたが、フィジカルAI・ロボティクス分野に特化した募集人数・具体的な年収レンジを一括で開示しているページは、本記事の調査時点(2026年9月17日)では見つかりませんでした。個別の職種名・待遇は、時期によって公開状況が変わるため、必ず各社の公式ページで最新の募集内容を確認してください。
アクセンチュア
コンサルティング大手として、製造業・エネルギー・物流分野のデジタル変革支援を事業の柱の一つにしていることは広く知られています。公式採用サイト(accenture.com/jp-ja/careers)で募集職種・応募方法を確認できることは2026年9月17日にアクセス確認済みですが、掲載内容はページ側でJavaScriptにより動的に生成されており、本記事側から特定のポジション名・年収レンジを機械的に読み取ることはできませんでした。ロボティクス・フィジカルAI関連の募集があるかどうかは、公式サイトのキーワード検索で確認することをおすすめします。
NEC
NECの公式採用サイト(careers.nec.com)では、グループ全体の求人を「Engineering & Science」などの職種カテゴリーから検索できる構成になっていることを2026年9月17日に確認しました。ただし、このページはグローバル共通のキャリアサイトで、日本国内・フィジカルAI分野に限定した募集人数や年収の一覧は本記事側では確認できませんでした。国内の技術職採用については、社員紹介制度(リファラル採用)を実施している企業もあるため、気になる場合は公式サイトの採用情報や、可能であれば社員とのつながりを通じて確認するとよいでしょう。
富士通・その他の企業について
富士通についても、AI・ロボティクス分野に関連する事業を展開していることは公知の事実ですが、本記事の調査時点で公式サイトへのアクセスがレート制限により安定して確認できなかったため、具体的な事業内容・募集職種の紹介は控えます。応募を検討する場合は、公式サイト(fujitsu.com)の採用情報ページを直接確認してください。
このほか、PwCコンサルティング・デロイト トーマツ・NTTデータ・パナソニックホールディングスなど、製造業・物流業向けのロボット導入支援やロボットDXに関わる事業を持つ企業は他にも存在すると見られますが、いずれも本記事では募集人数・年収を裏付ける一次情報を確認できていません。特定の企業名・金額を挙げた記述は、確認が取れるまで本記事には含めていません。
ヒューマノイドロボット業界の求人をチェック
求人一覧を見るフィジカルAI関連で求人が見られる主な職種
企業ごとの募集人数・年収は確認できない一方、フィジカルAI・ロボティクス分野で求人が出やすい職種のタイプは、本サイトに掲載されている求人や関連記事から一定の傾向を整理できます。ここでは代表的な職種タイプと、より詳しい解説記事へのリンクを紹介します。
| 職種タイプ | 主な仕事内容の例 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| ロボット導入コンサルタント | 顧客企業のロボット導入の企画・投資判断支援、ROI試算 | ロボット導入コンサルタントの記事 |
| フィジカルAIコンサルタント | AI×ロボットの導入戦略の立案支援 | フィジカルAIコンサルタントガイド |
| 身体性AI(Embodied AI)エンジニア | ロボットの知覚・行動生成モデルの開発 | 身体性AIエンジニアの記事 |
| ROSエンジニア | ロボット制御ソフトウェアの実装 | ROSエンジニア求人の記事 |
| ロボットSIer(システムインテグレーター) | ロボットシステムの現場導入・調整 | ロボットSIerの記事 |
| ヒューマノイドロボットオペレーター | 現場での起動・監視・日常点検 | オペレーター求人の記事 |
| 保守・メンテナンスエンジニア | ロボットの点検・修理・トラブル対応 | 保守キャリアの記事 |
表の右列の記事は、いずれも本サイトで一次情報にもとづいて書き直した個別の職種解説です。年収を含む募集条件は職種・企業ごとに異なるため、興味のある職種の記事とあわせて、実際の求人票を確認することをおすすめします。
採用選考で重視されやすい観点
個別企業の選考基準は非公開であるため断定はできませんが、本サイトに掲載されている求人票の傾向や、上記の職種別記事の取材内容から、次のような観点が重視される傾向にあります。あくまで一般的な傾向であり、実際の選考基準は企業・職種ごとに確認してください。
現場理解:導入プロジェクトの経験や業務知識
コンサルティング職・導入支援職では、製造業・物流業・医療・建設など、ロボットを導入する現場側の業務プロセスを理解していることが評価されやすい傾向にあります。技術力そのものよりも「現場でどう使われるか」を具体的にイメージできるかどうかが問われる場面が多いようです。
技術力:ロボット制御・AIモデル開発の実装経験
エンジニア職では、ROS/ROS2などのロボット制御フレームワーク、コンピュータビジョン、強化学習などの実装経験が求められる求人が多く見られます。必要とされる技術スタックは職種によって異なるため、ヒューマノイドロボットのスキル・資格ガイドで職種別に整理した内容もあわせてご確認ください。
安全衛生に関する知識・資格
ロボットの可動範囲内で教示等(ティーチング)や検査等の業務を行う場合、労働安全衛生法・同規則にもとづく安全衛生特別教育の受講が法律で義務づけられています。現場系の職種に応募する場合は、この資格の有無や、入社後に受講できるかどうかも確認ポイントになります。詳しくはロボット資格・検定ガイドで解説しています。
年収を確認したい場合は
本記事では、個別企業・個別職種の年収について公的に裏付けられた数値を確認できなかったため、具体的な金額の断定はしていません。ロボット業界の賃金水準を、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」や上場企業の有価証券報告書といった一次情報にもとづいて整理した記事を別途用意していますので、年収の目安を知りたい場合はロボット業界の年収ランキングの記事をご覧ください。実際の年収は求人票・内定通知書で確認するのが最も確実です。求人者には職業安定法第5条の3・労働基準法第15条にもとづき、賃金などの労働条件を明示する義務があります。
本サイトに掲載されている求人について
physicalai-jobs.comは、フィジカルAI・ヒューマノイドロボット業界に特化した求人プラットフォームとして、企業から掲載いただいた求人情報を公開しています。本記事で紹介した職種タイプや傾向は、あくまで本サイトに掲載されている求人および関連記事の取材にもとづくものであり、業界全体を網羅した公的な統計ではありません。掲載されている求人の職種・件数は時期によって変動するため、最新の募集状況は求人一覧ページで直接ご確認ください。企業として求人掲載を検討される場合は、掲載方法をまとめた求人掲載の記事もあわせてご覧ください。
2026年9月以降、採用動向を追ううえでのポイント
フィジカルAI分野は変化が速く、企業の採用方針も四半期単位で変わり得ます。継続的に動向を追う場合は、次のような一次情報源を定点観測することをおすすめします。
- 日本ロボット工業会の四半期統計(受注・生産・出荷実績):おおむね四半期終了から3〜4か月後に公表されます
- 厚生労働省「一般職業紹介状況」:毎月末に前月分が公表されます
- 経済産業省のロボット政策ページ:AIロボティクス戦略の改訂状況が随時更新されます
- 興味のある企業の公式採用サイト・IR情報:個別の募集職種・条件はここが一次情報です
未経験からこの業界を目指す場合の進め方は未経験からヒューマノイドロボット業界を目指す方法、30代・40代での転職を検討している場合は30代・40代からのロボット業界キャリアチェンジの記事もあわせてご確認ください。
出典・参考情報
- 一般社団法人日本ロボット工業会「統計プレスリリース:四半期統計(2026年4〜6月期)」(2026年7月23日リリース)※ページ見出し・冒頭サブ見出しは「2025年4~6月期」と表記されていますが、本文中の実況記述は「2026年4~6月期」となっており、前四半期(2026年1〜3月期)からの推移とも整合するため、本記事では本文の期間表記(2026年4〜6月期)を採用しています
- 一般社団法人日本ロボット工業会「統計プレスリリース:四半期統計(2026年1〜3月期)」(2026年4月24日リリース)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」(2026年8月28日公表)
- 経済産業省「ロボット」政策ページ(AIロボティクス戦略、最終更新日2026年4月6日)
- アクセンチュア公式採用サイト(アクセス確認2026年9月17日)
- NEC公式採用サイト(アクセス確認2026年9月17日)
最終確認日: 2026年9月17日。統計・政策情報は今後更新される場合があります。個別企業の募集職種・年収・採用人数は、必ず各社公式サイトの最新情報および実際の求人票で確認してください。本記事は特定企業の採用を保証するものではありません。